徒然草紙~神社とか小説とか~

神社仏閣巡り・小説・歴史考察・石談義など、ごった煮ブログです。ちょっとトンデル時もあります(笑)。

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「あわれ彼女は娼婦」を見て

 金曜日に録画しておいた「あわれ彼女は娼婦」を昨日見ました。
いえね、ポスターを見たり、ダイジェストを読んだりしてすごく見たくてね(^_^;)。
wowwowで放送されないかなぁ、と思っていましたが、放送されてちょっと嬉しかったです。


……が、内容が……付いてけないというか……(汗)。


シェイクスピアと同時代人というジョン・フォードという人が書いた戯曲で、中世イタリア・パルマ公国で起こった兄妹の悲劇の恋、という内容でした。
兄妹の近親相姦というと、お題小説で書いた軽太子×衣通姫もそうです。ダイジェストの雰囲気では、合い通じる者があるかな、と期待していました。

が、見た感想は「グロい。皆自己チューやないか!」て感じです。


神学校に通っていた美しい兄・ジョバンニは、絶世の美女である妹・アナベラに対して許されざる恋心を抱きます。
後見人である修道士は、目を掛けているジョバンニが抱く神に背く想いを咎め、神に懺悔し、悔い改めよとクドクドと告げます。

ここらへんで、「あぁ、中世のカトリック真っ盛りの時代だなぁ」と思いました。
妹が「娼婦」といわれたのも、当時の常識(つまりカトリック的規範)から外れた……つまり「定められた結婚に背き、してはならぬことをした姦淫の女」というレッテルとしての「娼婦」なんですね。決して売春しているわけではないのです。
ジョバンニも言っていましたが、そういうのは「因習」だと思います。近親相姦を推奨しているわけではありませんが、恋とか愛とかは止める事が出来ないエネルギーであって、止めようとしても止められない類のものだと思うんです。
だから、結末は救われなくても、恋に殉じた男女は、兄妹であっても美しいと思いますよ。「古事記」にある軽太子と衣通姫の話も、美しい恋の逸話として現在でも感動でもって読まれています。


近親婚がタブーとされたのは、ある意味人によって作られた慣習で、一神教あたりが出端かな、と思います。
多神教は大抵兄妹婚があったり、太母神が息子を産んで夫とし、死する運命にある夫の男子を生んで、また夫にするという奇妙な婚姻を繰り返すなどの近親婚の伝説があります。

ちなみに、「姦淫(カトリック的には、恋に奔放だったりすること)」に関しても、それが恋に纏わるものなら、していいんじゃないかと思います。「娼婦」だから、穢れてるかといえば、決してそうではないと思います。
神殿娼婦は教養に溢れて美しく、神々しい存在でした。彼女たちは男性のメンタル面に優しく作用し、勇気と自信を与える存在だったと思いますよ。
それを穢れたものとしたのは、カトリックのもとになった「ユダヤ教」です。
「ユダヤ教」の唯一神は他の神(同じ地域にいた地母神とその夫神など)を徹底的に排斥します。「ユダヤ教」が「姦淫」を徹底的に取り締まったのは、案外、地母神信仰(「バアル教」)の神聖な多淫の習慣に対する過敏な反応だったのかもしれません。
神殿娼婦を抱え込んでいたユダヤ教のライバル「バアル教」では生贄が行われたといいますが、良いか悪いかは別として、インカなどの古代宗教では生贄は普遍的にあったものです。
日本でも埴輪が出来た理由は、古墳に埋葬するときの随葬者はある意味生贄だし、人柱や人身御供もありました。
バアルが生贄を求めたというのは、同じく中東の神である「モレク」と混同していて、バアルの場合の生贄は羊などの家畜だったらしいです。その生贄羊で占いをしたという記録もありました(古代秘教の本・学研エソテリカ)。
実は、イエスも地母神に捧げられる生贄=殺され王(穀霊である地母神の息子であり夫である男神)だという話もあります。
わたし的には、「旧約聖書」「新約聖書」は「古事記」「日本書紀」と同じで、後世の人間の細工があるような気がします。



……話が思いっきりずれましたが(汗)、兄・ジョバンニは修道士に非難されますが恋を抑えられず、兄に心酔して数いる求婚者を片っ端から断る妹・アナベラに告白してしまいます。
するとアナベラも兄を愛していると告げ、彼女の乳母の協力もあり二人は許されざる関係を結んでしまいます。
二人は恋に酔いますが、妹が兄の子を身籠るというアクシデントのため破綻します。
許されざる恋で結ばれてしまった兄妹ですが、妹・アナベラは身籠ったことにショックを受け、そのうえ未婚で懐妊したことから兄の後見である修道士から尋問のうえ改悛を迫られ、自身の保身からかソランゾと結婚します。
このソランゾがまた女ぐせの悪い男で、人妻と浮気した後一方的に捨てます。ソランゾに捨てられ、スキャンダルにより夫に死なれた人妻はソランゾに対する復讐を企てますが、ソランゾの側近の謀略により結婚式の晩餐会で毒を盛られて死にます。
また人妻の夫は死んでいたといいますが、実は生きており影でソランゾに復讐するため暗躍します。前段階になりますが、彼はソランゾに名誉を傷つけられたローマ軍人のアナベラの求婚者のひとりを唆し、ソランゾ殺害を示唆しますが、ローマ軍人は間違ってアナベラの求婚者だった貴族の甥(ちょっとおバカさんっぽい。笑)を殺害します。この求婚者が人妻の夫の姪の婚約者であり、複雑な様相を示します。甥を殺された貴族はローマ軍人が所属しているローマ法皇庁に弾劾に行きますが、枢機卿は軍人の罪を取り下げます。

兄・ジョバンニは結婚してしまった妹への激しい恋情から狂的になってゆきます。
ソランゾは結婚してからアナベラの妊娠を知り、妻を罵り子の父親を白状させるため暴力を振るいます。が、アナベラはしたたかにも「神のように美しい方のお子の父親になれることを幸運にお思いなさい(だったっけ?)」などと開き直り、しらばくれます。

アナベラは神に背いた恐怖と懺悔に日々を送りますが、このときの彼女は、兄への愛より自分可愛さ……というか、恋に浮かれ勢いで兄を受け入れたものの、ことの重要さを本当の意味で知っていなかった? と思いました。
それと同時に、ソランゾに対しているときのアナベラは「源氏物語の藤壺か?」と思えるくらいの強さで、同時に「日出処の天子(山岸涼子著)」の、兄・毛人と通じ子・山背を身籠ったのを知った上で、利用するため厩戸に嫁いだ刀自古もダブりました。それくらい、面の皮が厚かったというか……(笑)。いや、妊娠した女って強かです。

アナベラの乳母も、初めは兄でも構わんという主張だったので、彼女が妊娠したときは同じように恐れおののきますが、あんたいっぱしの大人なら、どうして二人が浮かれてるときに「ほどほどに」とか言わんかったのよ! と心底思いました。


いや~~皆一様に自分勝手で、面白いッたらありゃしない!
これって「グロテスク・リアリズム」ですかい、というお話です。


逆に、因習に逆らってでも純愛を貫く兄妹という話を求めてこの戯曲を見たら、期待を裏切られてブチ切れますが(わたしはそうだった。笑)。


で、やはり結末もグロで(爆)。
アナベラの子の父が彼女の兄・ジョバンニであると知ったソランゾは、自分の誕生パーティーを名目でおびき出し、兄の抹殺を図ろうとします。
妹・アナベラはソランゾに幽閉されますがこの日だけ兄に会う事を許されます。
狂気を孕む兄の抱擁を拒むアナベラは前ほどに恋にのめりこんでいる感じはなくて、兄はのぼせているので「キスをしてくれ」ばかり言っていました。
兄は妹を刺殺、彼女の心臓を抉り出してパーティー会場に血みどろで殴りこみます。
ジョバンニはその場で妹との関係を激白。そこにいた兄妹の父はショック死します。招待された人間は妹の心臓を一口食う兄に半狂乱になります。
兄は周りにいる無関係の人間をばっさばっさと斬りまくり、ソランゾも殺します。
最後にはソランゾの従者にジョバンニも殺されてしまい、招待されていたローマの枢機卿が「彼女のことをこういうだろう。――あわれ彼女は娼婦と」と宣言して終わりました。



確かに、一時の感情に酔ってしまったアナベラは考えなしだったと思います。
が、彼女を「娼婦」というのは、現在の感覚では「違うだろう!」と思えます。
しかしそれが、中世社会だったんでしょうね。男よりも女のほうが罪深いとされていたのですから。
色々考えさせられる戯曲です。



見てみた結論。

やっぱり、わたしは軽太子と衣通姫のような、純愛燃焼型のお話のほうが好きです。
同じように将来を期待されていた軽太子とジョバンニですが、たぶんふたりとも狂的なものを持っていたのでしょうが、生きることを望んだ妹を殺してしまうなんてことが許せないです。

またアナベラも、衣通姫のような熱意をあまり感じられません。捕らわれて伊予に流された軽太子を、時勢に負けてしまわず女の身でありながら追いかけていった姿が、立派です。
……まぁ、これは女性が逞しいことを認めた古代日本と、女性を貶め家に閉じ込めた中世ヨーロッパの違いからくるものでしょうが。
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  • 2011.10/02 01:28分 
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