徒然草紙~神社とか小説とか~

神社仏閣巡り・小説・歴史考察・石談義など、ごった煮ブログです。ちょっとトンデル時もあります(笑)。

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負の暗示(漫画文庫「神かくし」より)

神かくし 神かくし
山岸 凉子 (1998/08)
秋田書店
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 このお話は、戦前に実際にあった大量殺人事件「津山三十人殺し」を、山岸凉子の推測を交えて描いたフィクション漫画です。

 この漫画では、犯人の生育歴から犯罪に至るまでのこころの歪みを、これでもかというくらい見せてくれます。

 幼児の頃に結核で両親を失った春雄は、姉とともに祖母のもとに引き取られますが、経済状態が苦しくなり山奥の寒村に引っ越してきます。
 そこは昔からの因習が色濃く残る場所で、零落した小さな集落に低い人口、未婚・既婚問わず女性と関係できる「夜這い」の風習があったりと、閉鎖的で濃密な空気が漂った場所でした。
 祖母に大事に育てられていた春雄は、少しの頭痛でも学校をやすみましたが、尋常小学校の頃は成績優秀でした。
 ゆえに長じて自尊心が高く、根拠のない自信、他人よりも優れているという根拠のない優越感を抱くようになりました。

 が、学校を休むという事は勉強に付いていけなくなることで、同年代との差が出てきます。
 更にお金がないことで進学できなくなり、春雄は農業に従事することになりましたが、彼はそれを拒否し、村の女との「夜這い」で憂さを晴らしてゆきます。

 ところが、春雄が結核の前症状である「肺尖カタル」という事実が発覚し、女たちからは拒否され、更に徴兵検査で不合格になったことによって村から爪弾きにされます。

 自尊心が強く、根拠のない自信・優越感を抱いている春雄は挫折を経験します。
 彼は村人達に復讐することを決意します。
 春雄は二本の懐中電灯をはちまきで巻き、自転車用ライトを胸に下げ、改造した猟銃と日本刀を手にするという異様なスタイルで、まず祖母の首を斧で刎ね、自分をバカにした女達を猟銃で撃ち殺してゆきます。
 結果、彼は三十人の村人を殺し、自身も猟銃で胸を撃ち抜いて自殺します。


 以上が「負の暗示」のあらましですが、とにかく絵が怖かった(*_*)。
 狂気に取り付かれた春雄の目の描写は段階があって、はじめは仁王のような感じで、でもまだ人らしいものでした。
 このまま犯罪決行までいくのなら普通に読めそうだ、と思っていましたが、「八つ墓村スタイル」になったとたん、無表情の人の顔に白眼に斜線というなんとも怖い顔になって、次のページではよく絵にあるような鬼の顔になっていました。
 山岸凉子は、二本の懐中電灯のスタイルを「鬼になった」ととらえたのでしょうか(わたしは、あれは自己顕示欲の塊のスタイルだと思ったんだけどな~~。笑)。

 とにかく、事件そのものも怖いんだけど、絵が抜群に怖かったです。ヤバイです。山岸凉子の短編漫画では「くるぞくるぞ」と思いながら読まなきゃいけないってのを忘れてました。


 で、この話の閉めの語りが、またグサッとくるんです。



「先送りした逃避はいづれ目の前に戻ってくる。さらに倍になって。
 そのまま解決せずまた先送りするとさらにさらに倍になって戻ってくる。
 それが負のサイクルであり、春雄はそのサイクルに囚われ、抜け出せなかったのだ。
 はたしてこのサイクルに囚われるのは春雄だけであろうか。
 そのひとつひとつが小さな逃避であろうとも、負は大きな口をあけていつでも我々を待っている」



 ああぁ、そりゃわたしのことか! て思いましたよ。
 アスペだと解ったとしても、それに甘んじていいわけないし、もっと現実みなきゃいけないんだ、とアイタタタと読みました。


 はぁ、色々考えさせられました、この漫画(-_-;)。
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